2022/09/03

山暮らし おしまい

昨日、午前10時始発の林道バスに乗り、夕方6時に自宅に帰ってきた。

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「インクノット」っていう山小屋バイト専門のWEBページで色々検索して、自分を雇ってくれそうな(年齢的に)小屋を探した後、いつ買ったか忘れたような本を家で見つけて、その山荘のことが書いてあったので応募したって感じ。

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夜行バスで到着して早々に、小屋の生命線である水場の掃除を任された写真。

飲料水の乏しい稜線の小屋の苦労を聞いていたので、助かった気分。同時に、水の大切さとかありがたさが身に沁みる。

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山荘は林道の終点にあるので、ヘリや歩荷に頼らなくてもいいとは聞いていたけど、それでも食材が毎日潤沢にあるわけではない。この冷凍ハンバーグも毎日続いて苦しんだ。奥の白飯だって、食うものがないから腹に詰め込むしかないので。結局体重は3キロ減。

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荷上げのヘリポートは、晴れの隙間を狙ってバンバン飛ぶ。トイレも小屋の資材も燃料も野菜も飛ぶ!

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多い時は40往復。

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街に降りた時に100均で買ったルアーと100均で買った竿を使って、山荘の目の前の渓流で生まれて初めて岩魚を釣った。20センチほどのが3匹。塩焼きにして賄いに。全く釣りの知識がないし、道具も100均。

富士山に次ぐ我が国第二の高峰「北岳」も普段着で登れたが、環境が許せば登山も釣りも特別な道具っていらないんだ、それが日常なんだと思い知ったよ。

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生まれて初めての遭難救助。遺体搬送する救助隊の凄さが身に染みた。自分は歩けなくなった人を背負っただけなので幸せ。けどもう、2度とやりたくないな。

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できることは一生懸命やらなくちゃという気持ちが裏目に。キッチンや賄いまで担当になってしまい、重宝されたのが仇になり、どんどん休暇が減っていった。ずるいかもしれないけど、次にどこかでバイトするときは、できないことにしよう。これ大事。

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社員さんやバイト仲間に見送られて帰阪。寂しいよりも、やっと帰れる安堵感。

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毎晩、寝床で読んだ本。自分の「熱源」ってなんだろうと考えるきっかけに。

トマト農園を廃業し、奥さんと二人でバイトと旅を繰り返しながら暮らしている熊本のMさん(53歳)

ひきこもりの二人の子供をもつ千葉県の主婦Kさん(50歳)

本当の自分は誰なのか悩む、フィリピンと日本のハーフの青年(28歳)

ノーてんきな女子大生(19歳)

バス会社の経理課からいきなり支配人に抜擢された社員さんほか、社員さん3名

このメンバーでの船出はともかく難航を極め、何度も、やめて家に帰ろうと思った。

不便なことばっかりあって、お互い理解し合えないことが沢山あって、けど24時間一緒に暮らすしかなくて、それでもこの宇宙船は迷走しながらも飛び続けなきゃいけなくて。

定年を待たずに会社を辞めたときに、この先何歳まで新しいことに挑戦できるんだろうと漠然とした不安でオロオロしたもんやが、年齢なんか関係ないわ、悩んでる間にどんどん歳いってまうわ、明日より今この瞬間が一番若いやん、行動してる限り止まることはない成長し続けていけるかもしれんやんという根拠のない思いは

間違ってなかったかな。

いつか死ぬ時に、「あれやっといたらよかったなぁ。。。」って後悔、一個減ったよ。

次はどんな挑戦しよかな。

 

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2022/08/28

山暮らしその13

おおそらく最後の休暇ナウ。

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山荘から一番近い村までバスで降りて、枝豆ともろきゅうで飲む。しばしぼんやり。

やっぱり、こーいったものを思いついたときにパッと食べられる環境っていいなぁ。

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隣の山岳博物館も見学。こーいった箱物って、どうしても行く末を案じてしまうものが多い。

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昨日は20数名の団体予約が入っていた。バイトも社員さんも朝から仕込みでバタバタ。なのに、全く姿を見せないので、大量遭難か?と思ったら、旅行会社がキャンセル連絡を忘れていたという顛末。

違約金はあっちが持つのは当然ながら、余ったポークステーキを全員で「必死で」食った。一人三枚のノルマに苦しむ羽目に。

 

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うまい物も、数をこなすと辛い。

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デザートの葡萄も、腹に詰め込む。もう味わう余裕なし。

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先日、TD沖縄以来、久しぶりの自転車アニキが山荘に泊まりにきて下さった。あいにく曇天続きだったが、楽しんで下さったようで何より。

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バイトの一人がまた山を降りていった。出会った数と別れる数は同じという法則。どうかお元気で。

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少し前の休暇で甲府に降りた時のこと。盆地特有の暑さで朦朧としながら、目的なんか何も無い、ただ闇雲に人気の無い道を歩いていたら、銭湯見つけた。

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客は自分だけ。許可もらって撮影。

掛け流しの温泉に沈んでみた。これまで山であった出来事や、去っていった仲間のことを思い出してみたり。

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風呂上がりに、前歯が3本しか残ってない主人と立ち話。自分の居る小屋のことも良く知っておられ、過去はかなりの岳人だったことが判明。周りの小屋番のバイトたちも良く立ち寄る銭湯らしい。

色々話して背中を押してもらった感じ。

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また、山に戻る。

もうすぐ夢が覚めて、あの日々は現実だったんだろうか、あの空に浮かぶ雲は同じとこからやって来てるんか?とか

思う日が、じわじわ迫って来てる。

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2022/08/23

山暮らしその12

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随分日の出が遅くなってきた。山の夏は短いことを実感。「この日」はいつもより早起きして、北岳のモルゲンロートをぼんやり眺めてみた。朝の空気はいつもより冷たく感じる。

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「この日」を最後に山を降りるバイト仲間を見送る。日に2便しかない林道バスに乗っていくつかの鉄道や飛行機を乗り継ぎ、熊本に帰るそうだ。

Mさん54歳。奥さんと共に、数ヶ月バイトしてそのお金で数ヶ月旅に出て、お金がなくなるとまた数ヶ月バイトして旅に出てを繰り返しているといっていた。不安を考え出すとキリがないので、目の前にある楽しそうなことをやって生きていくって考え方。自分の歳になっても衝撃を与えてくれる人との出会いができたので、ここにきたことは間違いじゃなかったな。

同時に、別れの辛さもひとしお。

40日あまり、一緒に暮らして一緒に働いて一緒に悩み苦しみ笑っていたのに。Mさんの記憶にも自分が残れるといいんだけどな。

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バスが走り去った後はぼーっとしてしばらく動けやんでいたら、こいつが飛んできた。

励ましてくれるのか?

「家に帰ろかな」。

山が好きで山の中で暮らすとどんなに幸せな気持ちになれるのか、山の景色は自分に何を与えてくれるのか、そんな巨大な期待が毎日ちょっとづつ

しぼんでいくのが分かったり、目を逸らしてみたり。

結論として、憧れを日常にしたらあかんってこと。山は非日常だから憧れもするし行けば楽しいし帰りたくないなと思うし。けど、今は大阪の家が憧れになってしまった。

変なの。。。

11月の小屋閉めまでいるつもりだったけど、そろそろ自分も山を降りようと思います。

山暮らしの日々を書くのも、あと少しかな。

 

 

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2022/08/18

山暮らしその11

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自分で調理したり社員さんが作ってくださったりしてる「賄い」。野菜は一応食べているけど、基本は「腹一杯にする」ことなので、必然的に炭水化物が中心で、魚は加工したものばかり。たまに甲府に降りても忙しくて魚を食べる時間がなく、かれこれ40日以上「生の魚」を食べていない。

日帰りで意を決して「寿司屋」へ行き、ランチメニューに載っていた最高峰を注文。

体に染み込んでいくのがわかる。次に口にできるのはいつになるやら。

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早立ちの登山者向けに朝ごはんを作る風景。こっちも寝起きで朦朧とした意識で作るので、たまにかまぼこが足りなくなったり。

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朝ご飯の賄いにもみんな胃腸が疲れてきたので、にゅうめんの卵とじ作ってみた。染み込む。

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カミキリ虫の来訪。

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小屋に対する想いが違ったり、社員とバイトの立場がうまく噛み合わなかったり、指示のされ方が気にいらなかったり、下から上を見てもどかしかったり、狭い共同生活の中で不満がどんどん膨らんでいって、とうとうお互い口も聞かなくなってしまった。

ギクシャクを絵に描いたような日々が続いた。もう山を降りて帰ろうかなと何度も考えた。

多様性を認めるなんてそんなに簡単なもんじゃない。ましてや同じ屋根の下で40日以上一緒に暮らせば本当に色々ある。

昨日、ようやくその硬い雪が溶けた。

久しぶりにうまい酒を飲んだ。高級なシャインマスカットを食べた。みんな想いは同じ方向を向いた。

この山小屋っていう小さな「宇宙船」は再び正しい軌道を描き始めた。

こんな歳になっても、忘れられない思い出の夏になるなんてな。

挑戦してよかったよ。

 

 

 

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2022/08/14

山暮らしその10

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40日以上経つのに、初めて「月夜」を見た。

それくらい、天気の良い日が少ない感じ。毎朝晴天、昼からどんどんガスが湧いて、午後から夕方まできっちり土砂降り。

写真のように月が出ると、空一面が明る過ぎて「満天の星」が見えた試しがない。ちょっと意外。

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天気が安定しないので、たまに晴れると荷上げと荷下げが一斉に行われる。近隣の小屋が一斉にやるもんだからヘリコプターも40往復とかそんな感じで。

写真は、上の小屋から「トイレ」を下ろす風景。落としたら「大惨事」。先日北岳に登った時にトイレを借りようと入ったら、便器の中は見事な「マウンテン」が。

傍に木の棒が置いてあり「大をするときは、この棒でブツを押し込んでからご利用ください」と一筆が。

流石に、何事もなかったように出てきてしまったが、、、。

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ある日の賄い。大抵は、オーダーミスのランチの残りだとか、期限切れの冷食だとかを賄いに食べる。炭水化物主体は仕方のないこと。

最近、毎日のように「下山が遅れて最終の林道バスに乗れない、なんとかゲートまで車で送ってほしい」とか「どうしても明日会社に出なきゃならんので、なんとかしてくれ」だとか「飛び込みで泊まらせて」とかいう人があとをたたない。

計画の甘さと余裕の無さはダメだと思う。

普段から、どの程度の荷物を背負って何時間くらいなら歩けるかとか、職場への根回しだとか、予備日を持っておくとか、

登山はやっパリ旅行とはちょっと毛色が違うので、緩いくらいの経過たてが方が楽しめると思うけどなぁ。

とはいえ過去の自分もどうしても翌日仕事に行かねばどえらいことになると、ハラハラしながら下山してもんやが、今思えば「どうにかなる」もんで。ましてや自分が下山しなきゃ10億の商談がパー、、、なんて人はそもそもちゃんと登山計画立ててきてると思う。

来週はバイト仲間が二人、ここを去る。

すでに朝晩は秋風が吹き始めているので、ことさら寂しくなるかなぁ。

11月の小屋閉めまでいてほしいなんて言われてるけど、日常に戻りたい気持ちも少し湧きあがってるのも確か。

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2022/08/05

山暮らしその9

滅多にない「休暇の連休」で甲府に降りてきた。バイト仲間が甲府市内にあるAEONに行って下界の空気を吸ってこいと強く勧めるので。

しかし、一泊しないとAEONにも行けない状況に我ながら笑える。山との往復のバスの本数が少ないので、日帰りだと40分しかAEONの空気吸えないからな。

けれど結果としては「もういいかな」。

目の手術をして一年が経とうとしているのに、いまだに、色彩の情報が多いところを歩くと脳が混乱してしまうので、自然と下を向いて歩いてしまうのが癖になってしまった。別に悲しくとも憂鬱でもなんでもないのに、下を向いて歩いてしまう。

一面の青い空とか、緑一色の森の中とか、目も楽だし、真っ直ぐ向いて歩けるし、いいかな。

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駅前に戻り、銭湯探し。

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奥さんの実家が近所というよしみで、よく通っていたとか。へー。

確かに温泉でいい湯だった。内装もおそらく当時のままの古さ加減。けど、ぼんやり湯船に浸かっていたら、地元の銭湯がとても懐かしく思えてしまって困った。

そして、思い出いっぱいのビジネスホテルへ。

まさか三年後に再びこの地で全然別の用事で同じホテルに泊まるなんて、人生わからんもんやと。

朝の食堂では、ワイシャツや背広着た、以前の自分のような人たちが黙々と飯食ってた。みんな頑張れ。

じゃ、再び山に戻ります。明日からまた5連勤。

人間関係がややこしくなりつつあって、ちょっと心穏やかではなくなってきてるけど、前職に比べたら屁でもない。

楽しくやろうな。

 

 

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2022/08/03

山暮らしその8

 

バイトしている広河原から、甲斐駒ヶ岳とか仙丈ヶ岳の登山口のある「北沢峠」までの南アルプス林道。数年前の台風の影響で通行止めになっており、先日の休暇に、なんとか徒歩で行けないかと挑戦したが、なすすべなく。

別の日には、道路がダメなら川を遡行してはどうだろうと行ってみたが、激しい水流に阻まれて、しかも川から道路までとても登れる高さじゃなかった。

で、昨日は仕事の休み時間にフラフラと再挑戦。

なんと、、、見つけてしまった「秘密の迂回路」。

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崩落現場の反対側に見事に出られた。それがこの写真。

ただし、ネットで拡散するとえらいことになるし、何より迷いやすいのでこの秘密の迂回路は現地で聞かれたらお答えす感じにします。

ここを通れば、北沢峠まで行けます。

付近の探検も小屋番の仕事なんで、またうろうろせねばと。

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お客さんに渓流釣りのプロの方がお見えになららて、手作りの毛針を見せてもらった。新宿に専門店があるよと教えてもらったけど、

「遠いがな。。。。」

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一昨日はまたまた遭難に発展しそうな事件が。

晩飯の最中に電話があり、林道のゲートが閉まるの何時だ?閉まったらもう街に降れないのか?と問い合わせがあり、「無理です」と答えたら

「金ならいくらでも出すから車でゲートまで送ってほしい」と漫画のセリフのようなことを言われてびっくりした。

うちに泊まって朝イチで降りてくださいと言って、待つこと「4時間」。

空身なら30分もかからない下山路を4時間経過しても姿を見せない。流石にまずいと思って、支配人と見に行くと、登山道にへたり込む姿が。

70歳を過ぎた小太りの方がテント泊の荷物を満載したザックを背負っていた。

計画性のなさ、若かった頃の体力の過信、問題点は山ほどあるが、もう誰も指摘はせずに。。。。

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さっき見つけたカメムシ。こいつも臭いのかな。

一ヶ月強すぎて、ちょっと疲れてきたかも。空気の薄い場所であんまり休憩時間にうろうろするのは良くないな。

それと、作業の内容によくわからないほどの高い精度を求められつつあったり、山小屋としての機能のブレが見えたり、なぜか?社員さんとバイトメンバーの橋渡し的な立場に置かれてしまったり、

サラリーマン時代に面倒臭いなぁと思っていたことがじわじわ再来してきてるので、

ちょっと息抜きしたいかな。

けど、山も森も昆虫もみんな優しいです。

 

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2022/07/29

山暮らしその7

毎日そこそこの出来事あるが、なんせネット環境が弱くて投稿出来ず。 

先日は初の給料日。金額を見て一瞬たじろいだが、家賃光熱費食費全てタダだと思い返せば、そこそこやなと。

で、飽きるほど食ってる桃を自宅にも送ってみた。

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山梨はフルーツ王国だそうで、毎日それこそ、社員さんが自宅から持ってきてくれた桃を大量に食ってます。それこそ飽きるほど。

飽きるほど桃食ってるのは人生でこれが最後かも。

送ったついでに甲府で飲んだ。当然小屋に戻るバスはもうない。仕方がなく、3000円のドミトリーをネットで見つけて泊まってみたら、見知らぬ人と、二段ベッドでの一夜。

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盆地で風のない街が甲府。もう、大阪や京都の比ではないほど暑い街で、早々に小屋へ逃げ帰った。(写真は市内から見える甲斐駒ヶ岳)

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甲府名物の「ほうとう」がある日の賄いにでた。「おざら」という食べ物は、これの冷たいつけ麺バージョンで、機会があれば食ってみたい。

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テント場の便所掃除をしていたら、どこやらの高校山岳部の皆さんが登っていかれた。高校生で山に興味があるっていいなぁ。

 

 

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登山客がいなくなった居室を掃除していると、クワガタのメスによく出くわす。あと、休み時間にヤマメを釣りに行くんだが、全くうまく釣れない。でも、渓谷まで5、6分というロケーションは幸せなのかも。

 

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ようやく、北岳に登ってみた。富士山や八ヶ岳、南アルプスの名だたる名峰も見えたが、頂上に立った時の感動の薄さに驚いた。

苦労して休暇を申請し、計画や準備でワクワクしたり、天気で気を揉んだりという工程を何一つ経ず、朝起きたら天気がよかったので、玄関から徒歩30秒で登山口という環境が

感動を薄めていることに気がついたまで。

いつか地元大阪に戻ったら、「憧れは、遠く離れている方がいいもんだ」と思えるようにしなきゃな。

 

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山頂直下の山小屋も、同じようにバイトが頑張ってた。いよいよ夏休みがすぐそこ。

明日もたくさんの登山の人の楽しそうな顔が見られるといいかな。

 

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2022/07/19

山暮らしその6

「人間の体重の重さに衝撃受けた」話。

比較的穏やかに時間が過ぎていた。昼に一件電話がなったので出てみると「今、XXの稜線にいる。夕方ちょっと遅くなるけど素泊まりさせて欲しい」という問い合わせ。

予約も少ないのでOKだと伝えたが、夕方から天気が崩れる予報が出ていたので「もし途中の小屋に泊まるなら、連絡ちょうだいね」と心配して伝えると「俺、20時間くらい歩けるので大丈夫っすよ!」と、ちょっと嫌な返事返ってきた。キミが歩けても、熊が通せんぼするかもしれないし、道が突如崩れるかもしれないし、山は何があるかわからないのに、、、。まっ、気にしないでおこう。

一通り、お客さんの晩飯が終わった頃に、小屋の外で支配人に手招きされた。

そこには偶然常駐していた山岳連盟の会長もいらしてて、予約時間を2時間以上過ぎてるのにまだ小屋に到着しない客の安否について支配人と会話している最中。

上の小屋からは彼らが通過した報告を電話で受けていたのだが、その時、当人から電話があり、メンバーの一人がもう歩けなくなっていると。

支配人に「今から行けるか?」と聞かれて、果たして自分のような素人が救助活動できるのかと躊躇ったり、練習では何度かやったことがあるのと、遊びで近くの岩に登ろうと思って持ってきたロープや登攀具を頭の中で整理し、もうなんか知らんけど行くしかないのかという状況に。

しかし、

熊や鹿や猿がうじゃうじゃいる山道で、夜で、小雨で、という抜群に怖いシチュエーション。

足元はでかい石だらけで、ここを人間背負っておりられるのか?と、頭の中は「あかん思考」で一杯一杯に。

ともあれ、こちらの照らすヘッドライトを見た彼らの安堵した表情は忘れられない。

暗闇に差す光は、どんだけ小さくても希望になる、、、のかと思ったり。

ザックとトレッキングポールで簡易搬送具を作ったが、雨の夜にほぼ手探りでの作業はなかなかイライラ。

で、要救助者は女性で見かけの体重はざっと50キロメートルと読んだが、

「全然立ち上がれやん」。

雄叫びをあげて気合いを入れて会長や支配人や彼女のツレにも手伝ってもらって、地面に穴開く、ゆーぐらい足踏ん張ってようやく立ち上がったら、もうそれだけでクラクラきた。

自力歩行できないほどぐったりした人間の重さは推定60キロメートル超えてんぞ、、、って感じ。

支配人に先頭を歩いてもらい、その肩を必死で掴んで段差を半歩づつ下る。汗が噴き出る。また半歩よろめく。汗が噴き出る。一瞬スリップして観念しつつ天を仰ぎそうになると、後方からロープで引っ張り上げてもらってる人に引いてもらう。

また汗が噴き出る。

全身の筋肉破裂するんじゃないかとか、ああ、晩飯食ってくればよかったとか、あと5歩くらいしかもう動けんとか、もっと痩せてから山にきてくださいねとか、

頭の中をぐるぐる。

そして支配人に交代してもらいつつ、小屋へ。

乾燥室に彼女を運び込み、毛布で保温したり、救急車の手配(2時間かけて走ってきた)、警察への連絡など、素人の自分には到底わからないことは全て会長やバイト仲間が。自分は小屋の外で雨に打たれて

放心状態。

彼女が助かって、救急車利用ではあるけど無事下山できてよかった。けど、原因はそもそも意外なとこにあって、それはまたおいおい。

「見たことのない世界をみたい」と思ってこのバイトに飛び込んできたが、

濃厚すぎる夜でした。


 

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2022/07/14

山暮らしその5

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休憩時間はいつもの巨大なソファーで。

北岳に向かう吊り橋の上から、登山者が不思議な顔して自分をスマホのカメラで撮ってる時がある。あいつはあんなところで呑気に何してんだろう?ってとこかな。

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ほんの少しの晴れ間に、ヘリコプターの荷上げを。

連日天気が良くない。山頂付近に点在する小屋は、荷上げが思うように進まなくてヤキモキしているみたい。だから、少しでも晴れ間が除くと、ものすごい回数でヘリが往復して荷上げしている。

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森の中のテント場掃除とか。登山よりも、ヤマメを釣りに来ているお客さんのテントが多い感じ。

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通行止めになった林道の偵察とSNSへの情報展開。南アルプスは地盤がとても脆くて、雨が続くとすぐに崩落してしまう。

直しては崩落、直しては崩落の繰り返しだそうです。

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時々やってきてくれる、優しい珍客。実は結構昆虫が好き。特に、クワガタとかカブトムシの匂いがちょっと好きだったり。

仕事で疲れて庭でしゃがんでいる時に、励ましにやってきてくれる。無理すんなよ、、、そう言ってるのかどうなのか。

新しいバイトさんもようやく雰囲気に慣れてきた矢先の雨続き。もう掃除し尽くしてしまって、本当にやることがない。

サラリーマン時代は、仕事の結論や方向性、ゴールが曖昧なまま突っ走れ!と言われ続けていた気がしたけど、今は違うな。

立ち上げたばかりの山荘をなんとか軌道に乗せて、登山者に喜んでもらいたいという経営母体(というか、実際に運営にあたられている社員さんたち)の意思は、自分達バイトも共感しているし、同じ船に乗った者としてオールを揃えて漕ぎたい。

こーゆー気持ちは初めてかも。

お金が欲しいわけじゃなくて(欲しいけど)、見たことのない世界や感じたことのない空気、知らない人たちとの出会い、さまざまな「未知」を体験したくてここに来たのだから、この先起こりうる出来事全部を

腹一杯詰め込みたいかな。

明日こそ、晴れるといいな。

 

 

 

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