何杯食ったんだろう
去年の秋、ポカポカ暖かい日だったと思う。クライミングに行った岩の上だったか帰り道だったか、兄弟子から、年が明けたら店をたたもうと思うという話を聞いた。
帰って小池さんにその事を話すと、じゃぁ年が明けたら必死で通って海馬に味を擦り込んでおかなきゃなーなんて言ってたんだけど。けど、状況が刻々と変わったみたいで、一刻の猶予もなくなってしまった。
最後だから全力で飲み・食べることにした。(この日、実に瓶ビール一本と白ワインを二本、よばれる)
薬味をでっぷりと塗り、上顎と下顎の間で何度も往復させて大事に大事に餃子を飲み込む。奥さんが腱鞘炎になりながら丁寧に作られた皮と餡、忘れないように舌に神経を集中させる。
みんなあんまり食べてんの見たことないけど、絶品の冷奴も。ピータンとキュウリとトマトをひとかけらと豆腐とそして濃厚なソースを絡めてレンゲに乗せて寄り道せず一直線に口内へイン!
鼻の穴からソースの香りがピ〜ひよろろ〜と抜けていく。こやつと白ワインを交互に、合間に息をする、、、みたいな。
豚まんで気持ちを一度落ち着かせて
おそらく人生最後になる酸辣麺を。凶暴で滋味深い酸味でゲホゲホ幸せに咳き込んでみたり。すうぷの中に沈んでいる山椒でビリビリ痺れて毛穴が開いて、麺の腰に思わず体をくねらせて、また咳き込んで、天井見上げてああもう終わってしまうのかしかし始まりがあればいつか終わりがくるし終わりがあればまた始まりもあるわけで
未来永劫食べ続けられるラーメンなどこの世にないんだよな。
冗談めかして兄弟子から「店、やる?」って言われたけど、ええ加減な気持ちでできる仕事ではないし、こんなクッソ不味いラーメン食われへんなんて食べログに書かれたりしたら、それこそ泥を塗ることになるので丁重にお断りした(笑。
食べている間にも、お客さんが次々とお別れを惜しむ挨拶に来られていた。自分もその中の一人だが、以前から食堂の大変さを聞いていたので
もう食べられなくなるなんて本当に悲しいです、、、なんて言うのは自分含めて客の身勝手でありお店の側は色々思い悩んだ末の決断、気持ちや体調、そーとー大変だったんだろうって思う。
クライミングに行った帰り、全身ヘロヘロであー帰って風呂入ってビイル飲んで昼寝したろ〜と思う横で、「今から明日の仕込みしに店行くわ」と涼しい顔でいつも兄弟子が言うもんだから、
この人は、いつ、休むんだ???と思ったもんだが。
大阪にうっまいラーメン屋があった。一滴残らずスープ飲んでもあとで全然喉乾かんラーメン。それはそれは美味くて、酸っぱくて、辛くて、
咳き込んで死ぬかとおもた。
そんなラーメンがあった。
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