カメラ
先日のグループホームの遠足の日の追記。
午前中、お袋の家の掃除をしたときに、引出の奥から小さな巾着袋を見つけた。手にもったらちょっと重くて固い。なんだろう?と思って紐をほどくと、中から小さなデジカメが出てきた。
大阪から突如”鬼太郎の街”にほど近い海辺に、おかん一人で移住して数年たったころの事。半分冗談で「ぼけ防止にパソコンでも始めたら」と勧めてみたら、さっそくXXの手習いでHPを見たり、簡単なメールを書いたり。そのうちどっから情報仕入れたのか「ブログ書きたい」と。教える側としては「ちぇ、、、面倒なことになったなぁ」という感じ。以来、帰省するたびに(移住先なので帰省って言葉はずっと違和感あった)、あーやこーや半分喧嘩腰でブログの投稿方法を教えたが。
そのときに、文字だけじゃつまらんだろうと安モンのデジカメをあげたら、これがハマッタ。どこへ行くにもデジカメをぶら下げて、海だの空だの花だの、しまいには鳥の死骸だの、自身が猛毒に刺されながら大スズメバチの写真を撮ってブログにアップしてきた。
嬉々としながらキーボードをコツコツ打つ姿を想うと、おかしくもあり、日記がアップされていると安否確認にもなるしと思ったり。
大阪に戻ったとき、ちょうど壊れたというので何台目かのデジカメを買ってやったのが、今回の掃除で出てきた。
最初の1,2年はいろいろぶら下げ歩いていたけど、いつのまにかおかんの鞄からカメラを取り出す姿を見なくなった。そうして、ブログの更新頻度も週に一度から月に一度。「最近写真撮ってないんか?」と聞けば、いろいろ忙しいからと言うし、「ブログ書かんの?」と聞けば、パソコンの画面が以前と変わってしまって、操作が面倒になったからと言う。
本当は、この時に気がついてあげるべきだったな。
巾着から取り出して少しだけ充電してみた。スイッチを入れて、再生ボタン押す。なんでやろ?なんでドキドキすんのやろ?何も映ってなかったらどうしよう。
そんなことは杞憂だった。
美しい海や空は無かったけれど、大阪にあるそれなりに綺麗な桜や紅葉の写真が沢山出来てほっとした。けど、いつごろなのか、それも無くなった。
こんなカタチでも老いるってことを教えられた気がした。自然なことだし、悲しくはないけど。
やっぱり悲しいかな。
しょうがないけどな。
おかんが覗いたレンズはどんな景色だったんだろうか。自分も同じ景色が見れるんだろうか。
大事にしようか。
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コメント
そういう楽しみを母に与えてあげられなかった・・
晩年、頻繁に実家を訪れても、一度母の中に膨らんだ「寂しさ」を払拭することができなかった後悔がもんもんとあります。~子どもを育て、家族のために年老いた母~・・・
母ちゃん、あんた何が楽しかったのかなあ。
投稿: initialTT | 2019/06/04 22:43
三年前に亡くなった義父が、かなりの囲碁好きだったのですが、10年ぐらいまえからぱったり止めてしまいました。その後、若干認知機能で問題が出てきました。そういうの悲しいですね。早く気付いてあげれば良かったと、本当に思います。
投稿: 宇津 | 2019/06/05 18:21
●initialTTアニキこんにちわ。生きていれば何度も何度も分岐点で選択を迫られることがあり、お袋もその時々に立ち止まっていろいろ選んで生きてきたんだと思います。ジョジョに自分で自分の生き方を選べなくなる姿や背中を見ると、何が楽しい?と問いかけずにはいられませんわ。
● 宇津あにきこんにちわ。おひさしぶりです。親しい人ほど、身近な人ほど、気が付かないものですよね。気が付いてるくせに自分の気づきにわざと蓋してるとこもあって、これではいけないですよね。現実を直視しなくちゃですよね。
投稿: ロラ男 | 2019/06/06 11:46
アニキ、似たような経験があります。
親父がパーキンソンと認定直後に、元気付けようと
20時過ぎに家電屋連れてって、で、デジカメコーナーへ。
デジイチを前に、興奮気味の親父。でも、解説出来ない俺(汗)
結果的には、キャノンのコンデジを購入して帰宅。
シャッターボタンを押しやすいように細工して。
で、数か月は散歩の共で、撮ってもらいました。
その写真を眺めつつ思ったのは、アニキと同じです。
今、時々デジイチのファインダーを覗いた時…
「もう少し絞るんじゃね」とか親父の声が聞こえる気がします。
投稿: bfz | 2019/06/06 22:03
●ブラジャーbfz!少しでも興味のあるしぐさをしたら、なるべく見逃さないようにしてあげたいですわ。あとで後悔したくないですしね。
投稿: ロラ男 | 2019/06/11 18:14