商売をたたむということ
生後まもない頃から銭湯生活スタート。
小5でようやく自宅に風呂ができ、途中中断はあったものの、今でも出張先で風呂屋を見つけてはワザワザ入りにいったり(最近はちょっと無理かな)。
ここ数年は毎週末ほぼ欠かさず通う。広い浴槽、挑発的に暑い96度のスチームサウナ、キンキンに冷やされた水風呂、顔見知りになったおっさんたちとのわたいも無い会話、風呂上りに脱力する天井扇のなんともトロイ風。
440円払って、この自分にとって最高にメロウな場所は死ぬまで通い続けるだろうなと、勝手に思っていたけど。
冬休み最後の日曜夕方、翌日から業務再開・出社の勇気を貰おうと暖簾をくぐると、写真の張り紙が。
この日もスチームサウナには勝手にライバル視している「ミスター・サウナ」が蒸気の中、難しい顔して座ってた。
「今月で閉店しますね、次どこ行きはりますのん?」と自分でも不思議だが、生まれて初めて話しかけてみた。
ミスター・サウナ氏、難しい顔したまんまポツリと「どっかよそ、探さなあきまへんなー」とくぐもった声で返事しれくれた。
客が減っているのは事実。ではなぜ減っているのか?自分など思いつくのは、「家に風呂があるから」。
しかし、ミスター・サウナ氏の口から思いがけない言葉が。
「年寄り、みんなデイサービスで風呂入ってくるから、風呂屋にけーへんねん」。
事情があってのことだろう立派な刺青(今はビンテージ色になってる)いれてる爺さん、スーパー銭湯とか行けないからせめて風呂屋で手足伸ばしてゆっくり浸かって気持ちよさそうにしてたのにな。
高齢の父親を背負って来て丁寧に背中を流している自分より年上のおっちゃん、狭い自宅の風呂ではそーゆーことも出来なくて、けどこの広い洗い場だとゆっくり洗ってあげられたんだろうな。
町内のお祭りの時、布団太鼓かついだ連中が大勢押しかけて風呂の中であーだこーだと祭りの反省をしながらガハハガハハと笑い合ってたけど、今年はどうするんだろう。
個人商店が店をたたむのは大変な決断、いったやろな。
始めるより終わるほうが何倍もエネルギー要るってゆうしな。
自分が心配しても仕方ない。
別の風呂屋を探して、また以前のように通うだけ。
不便だとか、寂しいだとか、みんなどこへ行くんだろうとか、そんなこと思うのはよそう。
大丈夫、大丈夫。
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