黒部源流、水晶岳、雲ノ平
9月30日:
つかれて起きれず。這うようにテントの外に出てみたら曇天で不安になるし。気温は5度。
居心地のよいテント場を離れるのは前日同様ちょっと悲しいが、先へ進まねば。
背中の荷物はあいかわらず重いが気持ちは日に日に軽い。
ついにここへたどり着く。
このあたりの一滴が流れ流れて黒部川に注ぎ、それが大河となって黒四ダムに集まって電力になり電線を伝って我が家に来るおかげで、
吉本新喜劇をTVで見ることができるのか。ナルホド。
いったん下がった源流部から再び登り返す途中に
げっぷが出るほどの紅葉の歓迎を受けることに。
標高2,800mあたりの鞍部にザックを置いて例のAEONの”アタック袋”に防寒着やら行動食やら詰めて水晶岳を目指したものの、小池さんとの共通の感想としては「剱岳よりヤバイ」ということ。
切れ落ち度とかじゃなくて、地面がザレザレのボロボロ。山名の通り岩肌をよくみると水晶が混ざっていたが、そんなもんどーでもえーわと思えるぐらい
ぼろぼろ。
水晶岳(2,986m)。頂上かなり狭い。軽四×4台置けるか無理かぐらいの広さ。
前日の午前、この場所からカメラのレンズキャップをコロコロと落として拾おうとした人が滑落して亡くなられたとこの日の夕方に聞いた。
レンズキャップ一個が何円するかしらんが、命を引換にすることはなかったんじゃないのか。
ご冥福を祈ります。
鞍部まで戻るとモーレツに腹ペコ。小池さんも自分も普段は小食なのに、山に入ると危機感が発動されるのか、ともかく四六時中腹が減っている。食べないと動けない。コンビニどころかヘタすると水の確保さえ危うい。
幸いこんな山奥にも水場があるので湯を沸かし
レトルトのパスタで昼飯。
●湯を沸かして3分とかで食べられるもの、次から沢山持つこと->おれ。
きのうまで半袖Tシャツで歩けたのに、背後にはすでに秋のソラ、迫る。
灯台みたいな存在の山かも、槍。
”小屋は見えてからが遠い”リフレイン。
雑誌で見て憧れを抱いた「雲ノ平山荘」が遠くに。
地図で読んだら1時間強と出たが、なんのなんの。まぁ急ぐ旅でもないし景色に足止めされること多数。それに、もう当分来る(来れる)こともなかろうと思えば、一歩一歩大切にと。
そんな調子のエエ思いは一瞬で吹き飛ぶほど「遠い」。
全部木道でイケると思ってら大間違いで、ふつうに登山道があったりで、当初「我が国最後の秘境」と言う甘美なキャッチフレーズなんぞもうええ、もうええちゅうぐらい
木道続く。
「石狩鍋」
山行途中で出会った人が口々に「雲ノ平の石狩鍋は美味かった」と言うので、北海道と何か見えない糸でつながった山荘なのかあるいは雲ノ平でシャケの養殖?とか頭の中をいつしか石狩鍋が充満してしまい、それにたまには手足延ばして寝たいなとか普段からめっぽう自分に甘い暮らしがここでも露呈して、なんの迷いもなく小屋の受付で
「一泊二食、二人」と。
●一泊二食一人9,500円。水は天水が1リットル100円。ビイルは350mlが650円。
●この日に限ってというか、晴天続きでテント場の水が枯れており、テント泊者には無料で水1リットルが支給。
トップシーズン以外は要注意。
平日なんでガラスキ。30人定員を小池さんと二人で独占。ただし、消灯後に入室して翌朝3:30に出発していった謎のカップルが。
あんたら、怖すぎる。
ともあれ、どこの小屋でも言えるが、小屋番やアルバイトのおにーちゃん、全員長身で男前すぎるし、おねーちゃん細身で美人すぎる。なにをどーしたらそんな男前や美人になるのかおっちゃんに教えてくれ。
婚活するなら山へ行け!
来世の婚活はここだと固く誓いつつ、ベランダで飲み倒す。
この日の行動時間は8時間。もう歩けない。
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