« 晴れたので、山へ | トップページ | ノンビリするとは? »

2013/09/22

サミット

九月二十日、午前五時起床。アルファ米と漬物、梅干しと味噌汁の朝飯後、六時に発車。

030
眼下の上高地がまだ眠っているのがなんともいえん幻想的な。

031
目指す頂の遥か遥か手前、入り口ともいえる「独標」の岩山。日記を振り返ると、2009年8月に初めてここに登ったのが最初の北アルプス。そこから見えた光景たるや、息を吸うのも忘れるほどにただただ背中一面にさぶいぼを立てるしかスベが無いほどの感動。魂の根本のほうから震えたのを今でも覚えているが、同時に、

どこをどうやって登ったのか思い出せないほど怖かったのも確か。

037
それが今や、通過点の一つになってしまうとは。これも、山を教えてくれたいろいろな人のおかげというのは、忘れてはイカンのな。

さぁ、こっから。

行こうぜ。

039
キノコみたいで変やなと最初は渋っていた小池さんだが、この独標からの下りでヘルメットの必要性を大いに感じたとか。垂直に近いが、岩が安定しているのでまぁなんとかかんとか。

この独標をかわきりに、合計11の峰をこえねばならん。ひとつづくクリアして行き、途中でダメになったらどこで引き返すかと計画段階ではいろいろ思うこともあったが、

042
ホボ中間地点だろう場所に立つ。フリークライミングほどの恐怖感は感じないが、左右がスバラシク切れ落ちているのは疑う余地無しの場所。それしにてもこのソラの青さと空気の透明度にはただただ圧倒されるばかり。

けれど、まだまだ先は長い。

045
小池さんも腹をくくって歩くしかないと思った様子。自分が滑落せずとも落石を誘発する心配もしなければならん、まったく気の抜けないトラバースの連発で、腹が減るのも忘れていた。

ちょっと気を抜いて振り返ってみると
047
後発のパーティーが天空に浮いている。その後ろには見守るように乗鞍岳がどっしり。

途中もひやひやなシーンはあったがこの日の核心部はやはり
050
山頂直下、最後の登りが”結構、それなりの、スラブ”。
岩登りの兄弟子に導かれてへぼへぼながらも岩登りをかじってきた成果がここで発揮されたが、小池さんはというと、登山靴の摩擦がまるっきり信用できやんかったり、クラックに指をねじ込めと指示しても意味が通じなかったりと悪戦苦闘が続いた。

※実際、登れはしたものの下山するときは後続に渋滞を引き起こしてしまったほど。

ともあれ、
056
奇しくも、誕生日の9月20日9:15、西穂高岳の頂に立つ。
360度見渡す限り、山、青空、山、青空、山、青空、、、、。
けれど、同じ道のりを帰らねばならんという思いが心を支配していたので、手放しで喜べないというのがなんとも情けない。ザックに入れてきた菓子パンを食べた味も、あまり記憶にないほど。

そんなおり、サラに険悪な前方の岩から人間が出てくるので驚いていると、「ザイルを使わない国内屈指の難路」と言われている”ジャンダルム”からの登山者が下りてきて、拍手でもって歓迎されていたり。
今はまったく語るに値しないその場所も、いつか行くときが来るんだろうか?あるいは救助のヘリから眺めるんだろうか、

いろいろな思いが去来するが、ともかく戻らねば。

062
足元に、一輪の「イワギキョウ」。こんな過酷な場所に咲く花にも人間は勝てないのか。

067
下ると同時に、つぎつぎ登る人がやってきた。写真の通り、今シーズンからヘルメットの着用が推奨されていて、ホボ半数近い人がかぶっていた。そそっかしいのでクライミングの時にハングした岩でゴンゴン頭をぶつけるコトはよくあるが、確かにここでも人為的な落石が頻発していたので、あればやっぱりかぶりたいかな。

077
登るときには余裕がなかった、笠ケ岳もクッキリ。

往復5時間の天空旅行から戻って最初にしたことは、
087
生ガソリンの注入。

|

« 晴れたので、山へ | トップページ | ノンビリするとは? »

コメント

おー、もう、いままでの鬱憤を晴らすように
天気も山も最高ですね。
気持ちがビンビン伝わってきますわ。

投稿: わがお | 2013/09/22 20:26

天気がよいと山は最高ですね。さらに岩場も安全に楽しめたようで、遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます。ジャンダルムは…子育て終わってからか、死亡保険を増額してから…。

投稿: kondou | 2013/09/22 21:34

●わがお兄弟子、ほんまにこの夏は「長かった~」です。そろそろ岩活動も展開したいですね!
●kondouあにき、初老の男性が単独初挑戦でジャンダルムを越えてこられたのですが、「仕事も子育ても一段落して、もういつ死んでも悔いが無いと思ったので決断しました」というセリフがなんともシビレましたねー。

投稿: ロラおとこ | 2013/09/24 11:01

良い休暇(誕生日)になったようで何よりがです。
キワキワな経験しないと魂が抜けるようなノンビリって出来ないのかもしれませんね。
酒飲んで唄うオッサンにはあり得ない時間でしょう。
ロラアニキの爪の垢煎じて飲ませてあげたいです。

投稿: ハム | 2013/09/24 11:36

●ハムあにき、ありがとうございます。疲れ切って恍惚の表情になれるのが一番かもしれませんね。

投稿: ロラおとこ | 2013/09/24 14:02

誕生日に登頂とは!ホント、感無量ですね。
おめでとうございます。
地道な岩トレが実を結んだとのことで…
やっぱり、必要なんですね~

投稿: bfz | 2013/09/24 17:17

●ブラジャーbfz!ありがとうございます。調子に乗ってこのまま大キレットまで行ったろか、、、と思いそうになりましたが、冷静にわが身を振り返りましたよ。焦りは禁物!ですね。

投稿: ロラおとこ | 2013/09/25 10:20

この記事へのコメントは終了しました。

« 晴れたので、山へ | トップページ | ノンビリするとは? »