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2013/05/05

春の蝶が岳

槍、穂高の観覧席的な山へ。

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タイムテーブル沿いに:
3日、朝8時大阪の自宅はつ。阪神高速でババ混み、名神高速でダダ混み、東海北陸自動車道で同じく。
15時平湯バスターミナル着という自己新記録(ワーストの)。焦りを感じつつバスに乗り換えて上高地におりたてば、登山者どころか観光客もすでにまばらなありさま。しかし悪いことだけではない。土産物屋の1,000円の弁当が300円というタイムサービスも。当然買う。

この日の予定は徳澤で一泊のつもりがいきなりの軌道修正で小梨平。早い話が

「河童橋のたもとまでしか行けず」。
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かたむく西日がつらい。

一人一泊700円とスーパーなドライを300円で買って失意の中テントを張り、キムチ鍋らしきものを胃の中に流し込んで日が暮れた。

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白菜、重たかった。


夜中に風の音で何度か目が覚めたり、横のテントでジーコ、ジーコ一晩中ファスナー開け閉めする音でむかつきながらも気が付けば寝てしまっていたもよう。

4日:
5:30起床。フリーズドライの飯を炊き、フリーズドライの親子どんぶりを食べる。
この科学的な飯がどーしてこんなに美味いのか?といつもながら感心するが。そんなのんきな自分の横を早くもやる気みなぎらせた登山者がどんどこ歩いてゆくので焦りを感じつつ(またか)撤収し7:30スタート。
途中に
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いつもなら一息つく明神もスルー

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最初に一泊を計画していた徳沢の牧歌的風景にも「けっ!」とか毒づいてみたり。
いよいよ登りに突入。

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最初こそ残雪やの~と気楽に登っていたがいつしか

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あたりは真冬に。

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背中の重しでしかないやろなと期待せずにもってきたアイゼンがこんなに頼もしいとは。

ここから先の4時間はほとんど写真撮る余裕無し。なんせ、急!ともかく、急!おぼろげな記憶をたどれば確か夏道はつづら折れだったはずなのに冬道ときたら「等高線に対してあくまでも直角を貫く」ようなレイアウトなのだ。
おまけに稜線上のテント場は慢性的に水不足だと聞いたので、背中には水2リットルとサーモスにお湯1リットル。途中でなんぼほど捨てたろうかと思ったか。
おまけに行動食に用意したカロリーなんちゃらのブロックの、ま~~~~腹持ちの悪いこと悪いこと。なんぼ栄養価とカローが高いとはいえ、満腹神経を刺激しない食べ物はやっぱりアカン。
コンビニも自販機も無い世界、動けなくなったらどーすんねん!?という恐怖がたえずつきまとう。これほんま。

小梨平からつごう7時間もかかって到着。感激もへったくれもなく残るエネルギーの絞りかすでテントを立て鍋に湯を沸かし
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食った「煮込みラーメン」の味は一生わすれん。

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吹雪の歓迎も受ける。
ここで担ぎ上げた2リットルを使い果たしたので山小屋で1リットル150万円の雨水を購入。夜中にそなえて湯たんぽ用の湯を沸かしてつづけざまに焼酎のお湯割りを流しこんで19時消灯。しかしいくらマットを敷いていてもしたは雪、外は吹雪、寒さで夜中に目が覚めてやめときゃええのに温度計をみたら

「マイナス10度」。

ウールのタイツはいて、フリースのパジャマの下はいて、ズボンはいて、上はウールの肌着と薄いフリースと厚手のフリースとダウンのインシュレーションにウールの帽子。靴下は二枚重ね。そしてモンベルの#3番手の寝袋。
寒くて寝れんので股の間に手を挟んでみたりしたが焼け石に水か。
隣でいびきかいてる小池さんはモンベルの#2でそれでもギリギリだったというので今後標高の低い真夏以外は#2をおすすめ。

#3は相当覚悟いります。

報われた5日:

寝たり起きたり震えたりでいつのまにか外が明るい。我慢していたシッコも限界なのでシブシブ外へ出てみたらば
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松本の町が夜から朝に切り替わる瞬間に遭遇。

ふりかえれば
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槍、そして前穂、奥穂、北穂の”穂高オールスターズ”が目覚めるトキがきたり。

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あとはもー、寒いのも忘れて北アルプス大劇場をただただ受け入れるだけ。目の前に広がる白と黒のコントラストは、絵なのか、写真なのか、まぼろしなのか。

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双眼鏡でのぞくと、槍の肩からスキーで滑走を始めているラインが沢山見えてびっくりした。そんな凄い遊びがあるとは、、、。

いつまでもこうしておりたいが、現実に戻らねば。
登りで痛めた腰のせいで、テントの中での方向転換にさえ激痛によろめく始末なので、ロキソニンをおかずに朝飯を食べて下山。
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御岳も乗鞍も「つぎはこっちへおいでや」と手招きしているかのような輝き。泣きそうになる。

五時間かけて登った道を半分強で下る。ただし今度は息が切れんかわりに膝が笑う笑う。途中に樹林帯が開ける場所からのぞくと、なにやら長野県警の山岳ヘリがものさがしをしている風景にでくわした。
遭難捜索でなければいいが。
河童橋にもどるといつもの人混みにもまれて現実へ帰ってきた安堵とそして寂しいため息がひとつかふたつ。

いい山だったな。
またいこう。


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コメント

登山道はオール雪というコンディションの中、真水1.5L、サーモスにホットアップルティ0.5L、スポーツドリンク1.5L、キムチ鍋の素0.5L、合計4Lを担ぎあげました。
ただただ重い、、、肩痛い、、、

投稿: PEANA2 | 2013/05/07 02:58

●PEANA2アニキ、同じくお疲れ様でした。肩が腫れております(泣。やはり夏山とはけた違いに荷物増えますよね。軽量化せねば、、、。

投稿: ローラーおとこ | 2013/05/07 09:48

最終日すばらしい天気で絶景ですね。
うらやましい限り!

投稿: uechicchi | 2013/05/07 11:36

⚫uechicchiアニキ、直前までヤキモキしましたが、おかげさまで何とか。しばらくはのんびり六甲でウクレレ弾いてビイル飲みたいデスわw

投稿: ローラーまん | 2013/05/07 11:56

朝焼け、美しすぎてヤバすぎます!
別世界より無事帰宅できて何よりです。

投稿: DANGER | 2013/05/07 12:11

うぉー、今すぐ行きたい。
実は今週末に計画中・・・

投稿: Shallow | 2013/05/07 12:39

●DANGERさま、入山前に現場で遭難事故もあったりして、けっこう緊張しました。やっぱりGPS,,,.
●おじき!是非とも徳沢で前泊をお勧めします。河童橋からのプラス2時間はあとあとものすごく応えましたよ。
水は担がず小屋で買いましょうw

投稿: ローラーおとこ | 2013/05/07 13:53

うわーっ素晴らしい景色。
いけるもんならいきたいですが
自信ないですわ、ムリっぽい。

投稿: わがお | 2013/05/07 14:02

<(T◇T)>うぉぉぉぉぉ!!!

お疲れさまでした。

素晴らしい~♪ 

ゴイス~!!

いつかは行ってみたい~!

(^o^)ノ

投稿: buhi3355 | 2013/05/07 14:32

いいなー、いつかは自分でも見てみたい大劇場。
でも距離とか装備とか考えると…無理っぽい。

投稿: amat | 2013/05/07 17:55

こおいう寒いとこでも寝起きできて、正面から風景に感動していられるのって、人間の体に熱い血が流れ続けている証なんでしょうね。

投稿: | 2013/05/07 20:25

↑忘れました

投稿: がりお | 2013/05/07 20:26

●わがお兄弟子、大丈夫っすよ。スラブ一個もないですし(笑。毎日、焼岳の雪解け具合見てますのでゼヒゼヒ。
●buhi3355あにき、ええとこですよ。お天気のスキをついて是非出かけてくださいな。
●まついアニキ、関東側(松本側)だと随分コースタイムが短いようですし、小屋に泊まれば荷物も大幅に減りそうです。オススメ。
●がりおにーさん、登る前の多くの不安、現場での不安、それらの先にある恍惚の世界をみたとき、ほんまに体中に温度の高い血がかけめぐるのを実感しました。
下山も不安でしたけどハハハ、、、。

投稿: ローラーおとこ | 2013/05/08 10:22

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