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2012/08/19

標高3180m

「よく来た」
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そんなアホなと思うだろうが確かに山が喋った

「よく来た、槍ヶ岳へ」。

普段行ってる立ち飲み屋を100とすると、酸素濃度は68%、水の沸点は92度。小屋で手首をそっと握って心拍数をはかると、就寝中だというのに120拍から下がらんという場所。地面に落としたお菓子の袋を拾おうとしてしゃがむ、そして立ち上がると、ラクショーで立ちくらみできるという場所。

~登っているときは不安との戦い~

この山目指してもう丸三年になるか。自転車ばっかり乗っててそれ以外にはなんの興味もないし価値観も見出せんような毎日。それはそれで十分楽しかった。しかし人間、どこに落とし穴があるかわからん。本当に、本当に。

贅沢な話やけれど、上高地へ行くのものかれこれ二桁回数になると、途中途中の風景を写真に撮らなくなる。感動せんワケではないが、目指す山があるとそっちに心が傾くので
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初めて導入するレトルト牛丼の写真でも。AEONで見つけたこれがまぁすこぶるうまい。98円という納得の値段。

で、この日は散歩程度の(高低差が50mそこそこなので)”槍沢山荘”着。一泊二食で9,000円という「納得の価格」。
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初めて行ったときは面食らった「三畳のベッドに大人6人」も、もう慣れた。これが定員で、悪天候の飛び込みを受け入れるときなど横になることもできずに倍の人間が押し込まれる。

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食事もなかなかどーして侮れんが、あとがつかえているのでダラダラ食べるわけにいかず。
山の楽しみの一つは、この席で隣り合った見知らぬ人との軽い交流。女子高生もおればびっくりするような高齢の大先輩も。登山歴のみならず、この場所、この山へ至るまでの人生の山とか谷まではたして自分には乗り越えられるのか?と思わずにはいられん話を笑顔で語ってくれて、深い感銘を覚える。

食べ終わってもまだ”午後7時”。
あとは寝るだけ。しかし一筋縄ではいかんのが山小屋の夜。自分の横にはタンクトップいっちょの巨漢おやじ。数センチ先からも体温の高さが伝わる。どんだけのサウンドに耐えねばならんのだという心配も杞憂に終わるほど地味なイビキで拍子抜け。

そのかわり他のおとなしそうなおやじが逆にたちの悪さを露呈し、夜中にはいびきの万国博覧会開催。
ま、ひとのことは言えんが、まんじりともせず、、、

~誰にも平等に朝が来る~

寝たような寝てないような。時計を見ると午前三時半。しかし五割の人間がすでに戦闘態勢なので自分らもおきる。ここは珍しい小屋で、沢から引いた水で風呂がある。しかし源泉かけ流しとは程遠く、入浴の先陣争いに負けると濃厚なトンコツ風呂が待っている。ここでひるんでいてはローラー興業社のながすたるのでトンコツスープにどっぷりつかるだけでなく顔も洗うし頭も洗う。

スープの具になったつもりで大変満足だ。

そんなスープの具も一晩熟成させた夜明けのさわやかなことこのうえなし。

ネチョネチョするシャツを再び着用して
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夜明け前の雪渓をフラフラ歩くのだ。歩くしかないのだ。この時午前五時前。

小屋の朝飯食ってたら行動に間に合わんので
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弁当にしてもらったら、これが大当たり。おかずを混ぜ込んだ「ハイブリッドちらし寿司」。
適度に酢が効いていてなんぼでも入る入る。

~普段の行いと山の天気はカンケーない!~

気がつくと標高2,500m前後の森林限界を超える
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一応それなりのポーズをとるものの、平地で暮らすわれわれには少々酸素の薄さを実感するあたり。

そしてそれは忽然と姿を見せた
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左側にキラリと光るのは山頂の小屋。
三年越しに槍の本体を肉眼に収めるとさすがに感極まるかとおもいきや、ただただ口をだらしなく半開きにして上を向くしか出来なかった。絶景とか荘厳とか画数の多い漢字が全部陳腐に思える。コンビニもない、舗装された道路ももちろんない、永久に続くかと思われるつづらおれと”はい松”の緑色が無限に続く。もうこの二本の足を前に出す以外にやるべきことがない。

呼吸は荒い。乾燥した空気がのどを焼く。頭がぼんやりしてくる。見上げる槍はますます遠ざかるような気がする。けれど、足がなぜか自分の意思で止まらん。

前へ。

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コメント

いーなーー。
今は数日家を開けることはできませんが、いつかの日のために体力作りを始めたいです。

投稿: ぶらいあん | 2012/08/20 16:12

●ぶらいあんアニキ、アニキぐらい自転車に頻繁に乗っていれば体力は全く問題ないですやん。行ける機会はある日突然降ってわいたようにやってきますよ。熱い想いを維持だぜ!

投稿: ロラお | 2012/08/21 13:34

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