森の中、GPS
滋賀県の左側にある「武奈ヶ岳」を目指す。
登山口周辺は鯖街道と言うだけに、名物の”鯖寿司”をだす料亭やら露天やら強烈な引力をふりほどくのが辛い辛い。。。
GW最終日ということか、はたまたマイナールートなのか、自分ら以外人影が無い。
ま、そんなことはトレッキングにつきものなので気にせず。
気にせずといいつつ
”熊捕獲中につき、、”などというワナにビビったり
なにものかの「しゃれこうべ」が落ちててさらに怖さ4割増し。
こんなシチュエイションは序の口で、登山靴片足分ほどしかないトラバース(これホンマ)の連発で
落ちたら助からんような滝壺の轟音を聞きながら、そーとーに神経すり減ってつらかった。
2,3日前に降った雨のせいなのかはたまた以前からそうなっていたのかは知らんが、地図に無い川がいたるとこに点在していて本当にまいった。
地図とコンパンスがあっても現在地がわからんので話にならん。ちょっとした地形の変化ももしかしたら正規ルートかと必死で目を凝らすものの、一切のてがかりなし。同行のアニキたちが所持するGPSも、ケータイの電波が届かん谷筋では能力を発揮せずなど。道を見失ってから小1時間ほどロスト。ガケに近いような場所を登ったり戻ったり、そーとー不安なトキを過ごした。
ああ、こんなときに登山用のGPSがあったらなぁとこのときばかりは心底思った。が、しかし、人工衛星に導かれて歩くのははたして登山と言えるのだろうか?トレッキングの醍醐味と言えるのだろうか?
遭難するつもりは毛頭ないが、この先どんな奇蹟の景色が待っているのか・それを想いながら孤独や不安と闘いながら歩く「予測不可能」なドキドキ感は、正直「たまらん」。
その例がこれ
言葉を失う凄さとはまさにこのこと。
陽はどんどん西へ傾く。腕時計の気圧計も呼応するように下がる。それを確認するやソラが真っ黒になり間髪いれず雷鳴がとどろくやら強風が吹きだすやらで積乱雲に完全に包囲された。もうこうなったら何が何でもダッシュで下山するしかないので
落石危険!という注意書きをありがたく読んでその下山道へ突っ込む!
冒険と無茶は違う、こんな近隣の山でも簡単に遭難するなという思いを反芻しながら膝の痛みを無視してともかく全力で下界目指した。
気がつくといつのまにか低気圧は去り、初夏の日差しに照らされてたり、そしてようやく時計を見る余裕がでて、6時間以上一切の補給や休憩なしで歩き続けたことが判った。道迷いと高度感の恐怖で空腹も忘れるほどか、まったく山をなめてた。
ようやく安全地帯にたどり着き、猛省しながら
メスティンに水とアルファ米とレトルトカレーを混ぜて火をつける。
本来は水気をすべて飛ばしてドライカレーが出来上がるはずだったのに
現実はリゾットどまり。
盲点は、「焦げ」にあった。混ぜ続けないとイチコロで鍋に焦げ付くのはつらかった。
やはり、カレーはカレーとして単純に料理するのが得策。
反省盛りだくさんの山になったが、下山すれば全てが思い出に変わる。
孤独や不安と闘い、風の音にも怯え、けれど普段”だれだれ”の五感を研ぎ澄ませて進むべき道を見つけてその先にある見たこともない風景、湧水で喉をうるおし、生木に滑落を助けられ、へとへとになって人里にたどりついたときのなんともいえん安堵感。国道から振り返る山のシルエットと達成感は
おおげさかもしれんが、「魂が震える」。
大阪駅にもどったら
ソフトバンクの犬が、なんや知らんが手を振ってた。
街はいろいろしんどい。
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コメント
アニキ、生還、お疲れ様です。
登山靴片足分ほどしかないトラバースって(汗)
己の袋が縮み上がる~っ。。。
あ、膝はご自愛下さい。
投稿: bfz | 2012/05/07 22:03
スマホのGPS、ちょっとしたコツと事前準備でもう少し活用できる様です。(携帯の電波不要)
どんな道具も使いこなせんとアカンですね。(笑)
投稿: Shallow | 2012/05/08 08:53
ルートはアニキ達にお任せして結構楽しんでいましたが、
一歩間違えば遭難の危険もあったのですね、反省、、。
しかしホント、安堵感と達成感は格別でした!
投稿: uechicchi | 2012/05/08 10:37
どうやら奥の深谷の左岸を進んで行くのが通称“女道”らしく、こちらが本道のようですね。
もう少しベテランになってから再度行ってみたいものですわ(笑)
投稿: さかじい | 2012/05/08 11:52
山で居場所がわからなくなるのは本当に不安ですよね。
スマホのGPSですが、圏外で困るのは地図を読み込むとき通信エラーになることだと推察しますので地図を予めダウンロードしておけばオッケーです。
ちなみにgoogle mapでもキャッシュしてれば使えます。
この前自転車乗ってて気づきました。
でもスマホの一番の問題ってバッテリーなんですよね(笑)
投稿: しお | 2012/05/08 11:57
無事帰還オメデトウです。
今まで数回、GARMINに救われましたよ。
両側が切り立った斜面の谷筋でもOREGON450は位置を正確に知らせてくれました。
投稿: DANGER | 2012/05/08 13:06
比良山っていろんなルートがありますよね。
私、こんなに近いところに住んでますけど、実は王道ルートしか行ってないんです。
アニキの日記見てそれ以外のルートで行きたくなりました!
投稿: PEANA2 | 2012/05/08 19:03
●ブラジャーbfz !今回の敗因は「謙虚さ」を忘れていたことにつきます。油断、アカン!
●おじき、同行ありがとうございました。道具にたよらず五感をもっと研ぎ澄ませて森を楽しみたいですね。
●uechicchiにーさん、みんな誰かが「戻ろう」と言いだすのを待っていたのではないでしょうか。正直なとこ自分は戻りたかった、、、。行く勇気、戻る有機、判断はむつかしですよね。同行ありがとうございました。
投稿: ロラおとこ | 2012/05/08 19:56
●さかじいあにき、同行ありがとうございました。道の朽ち果て具合が恐ろしかったです。それとともに、林業の人たちに敬意を!
●しおにーさん、電池に関しては同感です。山に入った瞬間からみなさん「そのとき」のために電源切るらしいですね。怖い!
●DANGERあにき、ガーミン欲しい、、、けどガーミンだけに頼りたくない。ジレンマですわ。
●PEANA2あにき、総括すると今回のルートは下界におりるまで「恐怖」しかありませんでした。今こうしてPCに向かってることが奇蹟かも(これ、大げさでなく)。
投稿: ロラおとこ | 2012/05/08 20:06