気温マイナス五度、吹雪、左右は巨大な雪匙、、、

全然・さっぱり・皆目「道がわからん」。
山登りが怖いと思ったのはこれが初めて。
JR大阪~JR湖西線志賀駅まで1,280円。駅前から「ビワ湖バレー」までバスで320円。
ここはもともとスキー場なんで

スキー板やらボードやら担いだ人間に交じって、違和感たっぷりの登山者二割といったところ。
市販の登山地図をたよりに

このあたりまでは特に何もなく。ロープウェイに乗ると往復1,800万円するが、今回の目的は山頂駅まで徒歩でいってみるかと軽い気持ちで。
冬場の登山は冷遇されているのか、どっから登ってええのかわからんでウロウロしてたら

ようやく入口見つける。しかし、かなり見えにくい場所にあった。
踏み跡が無いままどんどこ登っていくと、足跡らしきものがあったが

これ以降、人間の足跡はまったくなく、この足跡に大いに助けられることになる。
ものの10分も歩かんうちにこの積雪量。

すかさずスノーシューに切り替えるが、このあたりはまだ希望9割り不安1割りで天気(曇天)とはウラハラに、楽しい楽しいで歩いていたが、

レスキューポイントの看板に、ただならぬ気配を感じる。
さっきの出だしとは違う生き物の足跡があったり。

生き物は縦横無尽に足跡を付けるもんやと思っていたが、人間同様”歩きやすいルート”を選んでいることに驚く。けっこうかしこいな、、、と。
山の世界では「夏道」と呼ばれるふつーのハイキング道が、雪に覆われて皆目わからん状態。こんなとき頼りになるのが

おせっかい有志による道しるべなど。しかし、夏場やとうっとおしいだけのリボンが、この日ばかりはほんまにありがたいとおもった。なんせまったく道がわからんので。雪深いといのは、道がわからんダケでなく、小銭が落ちてようが地雷が埋まってようがでんでんわからん。頼りになるのは体内GPS(世間では勘というらしい)と地図とコンパス。
セルフタイマーで一枚。

一見やらせのように見えるが、ここまでじつに三時間かかった。登山地図には1.5時間と書いてあったので単純に「倍」。豪快な積雪いうのはほんまにあなどれんと、それとこの日のこのルートは自分が初登らしく、自転車でいうところの「先頭交代」してくれるもんがおらんので、まーきついきつい。
杉林の急斜面では、大枚はたいたご自慢のスノーシューもほとんど役にたたんぐらい滑るし。

本来ならば、美しい琵琶湖が見えるはずだが。
ここで考える。頂上まであと地図では30分やが、今のペースでくと1.5倍はかかる。天気は急速に悪くなり吹雪始めているのとガス(濃霧のキツめのやつ)が広がり始めてそれこそ前後左右どころか今来た道が隠れ始める始末で、こらぁもうまよてる暇はない、自分の踏み跡が消えんうちにもどらんと、ここでホトケさんになる可能性を感じた。
登山雑誌に遭難やら道迷いやらの特集があって、そんな記事の当事者になるすんでのとこで退却開始。前みても景色が無いからひたすら地面に描いた自分の足跡を探すようなそんなカンジ。
ここで登り始めてからおにぎり一個しか執ってないないことを思い出し、吹雪を避けられそうな樹林帯に逃げ込んで人生初の

ツエルトやらを建設するも、風にあおられて右往左往するばかりでぜんぜん家の形にならん、、、。
けっきょくややこしく荷物を広げただけに終わりさらに空腹は増すばかり。
さらに下山を続けてようやくマイナス1度か2度ぐらいのとこまでたどり着く。

ようやく湯を沸かす余裕ができたらこんどは

寒さでガスの気化がよわよわしい。沸騰が先か凍死が先かというもどかしさの中、ガスの缶を温めたらええんやないか?とひらめき、ぬるいままの湯をガス缶に軽く浴びせると、とたんに炎が息を吹き返す。(ご参考まで)
ラーメン食べたらまた膝まで埋まる雪の中をころがり落ちるように下るの繰り返し。あとで考えたら、よーまーこんなけ登ったな、、、、と。

登るトキは(赤)楽しさのあまり夢中で判らんかったが、下山してきて始めて誤りに気がつく。正しくは「青」。
人間の営みが感じられるとこまで無我夢中でおりると、琵琶湖が光ってた。

振り返ると

さっきまで迷い続けた場所がそこに。
結局何をしに登ったのやらわからん旅になったが、これはこれで非常に印象に残った。
自分の甘さやら引き際の難しさやら無事に戻れた安堵やら、それなのにこの痺れるような感覚といい、もう一回あの場所に挑戦したい気持ちとかこんな複雑な感触は生まれて初めてで、とまどうとまどう。
・・・駅についてぼんやり見上げると、山に青天がもどりつつあって、あー人生ってそんなもんやなと。
おしまい。
つづく
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